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「……う?」 生温い風に気付いて自分は目を開ける。その瞬間感じた腹部の痛みで覚醒する。 自分は確か家に居て、鬼が尋ねてきたんじゃなかっただろうか。 そして恢が来てくれたと思えば、そこにいたのは眞智で――。 やっと思い出した。自分は眞智達に捕まってしまったんだ。 慌てて回りを見回して、夕鶴は自分が学校の屋上にいる事に気付く。 「え、学校?」 拘束もされていないし、見張りもいない。じゃあ何故こんな場所に捨てられていたのか。 「……叉玖」 呼び掛けても彼からの反応はない。そこでやっと、叉玖は鬼にやられたのだと気付いた。 「はは、じゃあ私は今一人なんだ」 途端に恐怖が襲ってくる。叉玖が居ない今、自分一人で何が出来るのだろう。 自分は人よりも霊力が強いだけ。独学なのでそれの使い方もあまり分からない。 今までの実戦の中で使っていたのも、霊力ではなく符だった。 心細い。でも側に誰もいなくて。ただで殺される訳にはいかない。 「……起きた?」 びくりと体が跳ねる。今の声は眞智のものだ。という事は鬼も居る。 振り向いた先には眞智がいた。その影は前より鬼に近寄っている。 「気分はどう?」 「貴方の後ろを見て、最悪になったわ」 恐怖に震えそうな体を叱咤して、自分は真っ直ぐ彼女を見る。 彼女を救わなくては。符は手元にあるし、なにより自分は最強の霊力者だ。
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