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長い事あの鬼を影に住まわせ、最近では鬼の思うがままに動いていた。 契約してからの期間が長ければ長い程、痛みは増すと聞く。 そして符の持ち主である霊力者は、ある一定量の霊力を符に送り続けなければならない。 これは彼女にも自分にも根気のいる作業で、落ちそうな状態でやるようなものじゃないのだが。 「眞智、堪えて!」 霊力に全く問題はない。ただ、一定量の霊力を送り込むのは酷く疲れる。 そして何より一番気になるのは、激痛に眞智が堪えられるのかという事。 だが彼女は、夕鶴に向かって無理矢理笑みを浮かべてくれていた。 「だ、大丈夫よ」 痛いだろうに、苦しいだろうに。それでも相変わらず眞智は笑ってる。 「夕鶴、私が死んだら笑ってね」 いきなり不吉な事を言う彼女に、自分は片眉を上げた。 「馬鹿言わないで。貴方は死なない、絶対に。だって、私が死なせないもの」 この手を離したら眞智は死ぬ。多分恢が鬼を倒せなかったら、同じく。 それでも自分は信じてる。彼は必ず倒してくれる。 そして自分は絶対に、この眞智の手を離さない。 夜とはいえ、今は夏に近付いてきた時期だ。二人の手は汗をかいて滑りやすくなる。 「落ちそうね」 「落ちないわ、落とさないもの」 「それ、言魂?」 「違う、違うけどそうね。言魂じゃなくて私の思いよ」 あまり代わりはないが、あるとすれば言魂のように力を発揮する訳ではない、ただの祈り。
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