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汗と疲れのせいで、とうとう眞智の手と夕鶴の手が離れた。 「あっ!」 「眞智!」 眞智が落ちると思った直前、自分の横から誰かの手が伸びて彼女を掴む。 「危ねぇな、お前ら二人は」 呆れたように自分の隣でため息をついているのは恢だった。 体中ぼろぼろになりながらも、そこにいるのはいつもの彼で。 自分の驚いた眼差しに気付いたのか、にやりと笑う。 「ほら、手伝え。助けたいんだろ?」 聞いた事もないような優しい声に涙が出そうだ。あの時、鬼に殺されかけた時もそうだが。 何故こんなに彼は助けてくれるのか。自分のピンチな時に来てくれるのか。 二人かかりで眞智をなんとか屋上まで引き上げた時、耳に悲痛な声が聞こえた。 「叉玖!」 そうだ、まだ鬼との戦いは終わってない。それを中断してまで恢は来てくれたのだ。 という事は、鬼と戦っているのは叉玖一匹だけという事になる。 「姫、手伝え」 「え?」 いきなり言われても訳が分からない。何を手伝えばいいのだろうか。 彼は傷だらけの体を引きずりながら立ち上がる。翼も、よく見ればぼろぼろで。 見ているこちらまで痛みそうな傷なのに、彼は笑っているのだ。 「お前の力が必要だ。頼む、巫女姫」 「頼まれなくても、手伝える事があるのならいくらでも!」 自分の返事に満足したのか、恢は俗に言うお姫様抱っこで持ち上げた。
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