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彼とやり取りをしている間に、言魂から解放された恢は眞智を連れに行っていたらしい。 「夕鶴!」 後ろから急に抱き着かれて、疲れ果てていた自分は転びそうになる。 それをそっと支えながら、恢はまたにやりと笑う。 「よくやった、姫。それでこそ巫女姫様だよな」 「ありがとう、先輩。眞智もね」 眞智ににっこり笑いかけると、彼女も満面の笑みを返してくれた。 ―――――――――――――― 自分達は静かな道を無言で歩いていた。皆が皆、何も言わない。 それは多分、眞智が黙っているから。この事件で一番傷付いたのは彼女だろう。 彼女は自分の意思ではないにしろ、何人もの人を殺してしまったから。 「……ねぇ、夕鶴」 不意に眞智が口を開く。その表情は酷く固い。嫌な予感がした。 何も言わずに先を促す自分に、彼女は弱々しい笑みを向ける。 「私、警察に行った方がいいよね?」 「え?」 いきなり言われた単語に首を傾げる。だがすぐに眞智が言いたい事を理解した。 彼女は自分の罪を警察に言いに行こうと言っているのだ。 鬼に憑かれていても、殺したのは眞智。食したのも眞智。 その罪の重さに耐え切れなくなったのか。 「……眞智」 何か言わなくてはと思うのに言葉が出ない。こういう時に気の利いた言葉が出ないなんて。
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