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再び黙り込んだ自分達を見て、横にいた恢が大きくため息をついた。
視線をそちらに向ける。だが彼は興味ないというようににそっぽを向いていて。
「悩むくらいなら止めとけよ。それに、お前は本当の犯人じゃないだろ」
「いいえ、人を殺したのは私です!裁かれるのは、私に決まってる」
最後の言葉は弱々しい。誰も好き好んで裁かれる人はいないはずだ。
しかし彼女は自分が許せないらしい。俯いている眞智は何を考えているのか。
「なら聞いてやろうか?」
恢は懐から取り出した携帯を左右に振っている。聞いてやるって、誰に何を。
「警視総監」
「は?」
「知り合いなんだよ。ついでにそいつも霊力者だ。だから聞いたところで答えは分かってる」
霊が関係する事件は、解決しているのなら罪にならない。したくても出来ないのだから。
まぁ、解決してなければ話は別だが。彼女の場合はちゃんと解決している。
「罪になる訳がない。仕方ない事なんだ」
そう、仕方ない。普通の人間がどれだけあがいたところで霊や妖怪には勝てない。
それでも眞智の表情は晴れる事がなく。暗い顔のまま俯いている。
何人も殺して来た自分が生きていてもいいのか。そんな表情をしていた。
「眞智、確かに貴方のやった事は許されないかもしれない。でも、私は貴方が生きていて嬉しかった」
どれだけ異端と言われようが、彼女だけはずっと側に居てくれた。
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