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「それにしても、お前起きるの早いな」
「決まって七時に起こされますから」
浮遊霊達が起こすのは七時と決まっている。それより早くなる事も遅くなる事もない。
規則正しい生活を出来るのは、全部彼らのお陰だった。
「じゃ、俺は家に帰る」
自分の作った朝食を食べ終えてすぐ、恢がそう言ってくる。
きょとんとした自分達の表情に気付いたのか、その顔に苦笑が浮かぶ。
「面倒だが、毎日一緒に行かないと気が済まない奴がいるんだ。家にいないと拗ねて厄介な事になる」
言葉ではあまりいい事を言っていないが、その顔はとても優しい。
一緒に行くという人は、恢の恋人か好きな人なのだろうか。
それを聞くと、彼は赤くなるどころか眉をしかめていた。
「なんで女と一緒に学校行くんだ。俺、誤解されたりとか嫌いなんだよ」
という事は、相手は男なのか。誤解されるのが嫌いという部分は分かる。
一人で頷いている自分を見ていた恢は、時計を見て青ざめた。
「うわ、やべぇ。じゃあ俺行くわ」
すれ違い様に夕鶴の頭を優しく叩きながら彼は出ていく。
不意打ちで何が起こったのか分からない自分は、眞智を見て曖昧に笑う。
「あら、ラブラブね」
「何言ってるの、眞智」
そう言われても動じない。からかいはだいぶ前から慣れているから。
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