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まだ言ってくる彼女の言葉を軽く流しながら、夕鶴は髪を結い制服を整える。 「夕鶴ー、アイロンない?」 「私の机の上にあるー」 「あった、ありがとうー」 大声でやり取りをしながら、お互いの準備を済ませた。 眞智と二人で玄関まで行くと、相変わらず浮遊霊総出の見送りだ。 視えるようになって初めての見送りに彼女の表情は少し引き攣る。 「行ってきます」 「……い、行ってきます」 『ミ』 いつの間にか現れていた叉玖も挨拶をして、皆で一緒に家を出ていく。 「〈閉じろ〉」 「そういうのに使っていいの?」 言魂の使い方を見た眞智は、呆れたように問いかけてくる。 言魂だって霊力を使うから心配なのだろうが、自分にとってそれはあまり関係がない。 だからこんなくだらない事にでも自由に使う事が出来る。 そう説明すると、彼女の顔には明らかな苦笑が浮かぶ。 「便利ね、底無しの霊力って」 「まぁね」 眞智と居ると一人の時よりも通学が楽しい。それが嬉しかった。 ―――――――――――――― 学校に着いたが、自分の教室の前は何故か人だかりが出来ている。 「……何あれ?」 「さぁ」 人だかりはほとんどが女子。しかも上級生というなんとも面倒な状態。 だが躊躇う眞智と違い、自分はそれに向かっていって人だかりの前で立ち止まる。 「邪魔、〈通しなさい〉」 「……また使って」 呆れたような声がした。目の前の人垣が割れて、自分達を通らしてくれる。
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