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昼休み、夕鶴と眞智は向かい合って弁当を広げた。 「うわ、夕鶴のお弁当豪華ね」 「まぁ、頑張った自分にご褒美よ」 確かに自分の作った弁当は豪華だ。自分の好きなものばっかり入れたのだから当たり前だが。 「美味しそうね」 「ありがとう」 それを食べようとした時、女子の絶叫が響く。驚いた眞智は箸を落とし、夕鶴は驚きすぎて弁当を落とした。 「あぁ!頑張って作ったのに……」 落とした弁当箱の前にひざまづいて震える。早起きして作ったものだからますます悲しい。 そんな様子を知りもしない悲鳴の原因になった青年が、笑顔で近寄ってきた。 「夕鶴ちゃん、言われた通り取り巻き達はいないよ」 「……あんたのせいでお弁当落ちたじゃない!〈吹き飛べ〉!」 「夕鶴!!」 振り向き様に言魂を使う。相当腹が立っているせいで冷静な判断が出来ていなかった。 吹き飛ばされた青年を見て、女子が悲鳴を上げる。それでやっと我に返った。 「あ」 慌てて回りを見回すが、自分を遠巻きに見つめる人しかいない。また怯えられた。これでは中学と同じではないか。 「少しやり過ぎたかな?」 ふと、夕鶴の後ろからそんな言葉が聞こえてくる。振り向くと、青年が苦笑を浮かべていた。 「ごめんね、夕鶴ちゃん。吹き飛べって言われたからふざけたら、ちょっとやり過ぎたんだよ」 目を見開く自分に柔らかく笑いかける。クラスの者も青年の言葉を信じたらしい。
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