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明らかにその瞳は、自分の事を不思議な人だと思って見ているらしい。失礼過ぎる。
「夕鶴、お待たせ」
眞智が自分の分の飲み物も持って現れた。そして彼女は向かいにいる青年を見て、目を見開く。
「え、夕鶴、この人と知り合い!?」
「全然。誰この人?」
「知らないの!?貴方、大野先輩の事も知らなかったものね」
呆れたようにこちらを見る眞智。対する青年は、目を見開いて夕鶴を見てきた。
初対面だがあまり自分の好きな性格ではない。そんなに驚かなくてもいいと思うのだが。
「はじめまして、俺は北見伊吹(きたみ いぶき)って言います。よろしくね」
「あ、いいです。よろしくする気ないんで」
目を見開く眞智と伊吹を無視して再び食べ始める。なんで今日はこんなに話し掛けられるのか。
ゆっくり食べさせてくれたらいいのに。邪魔されてばかりの夕鶴は不機嫌だ。
「夕鶴。この人女好きらしいから気をつけてね。取っ替え引っ替えするらしいわ」
眞智から呟かれた言葉に、夕鶴は表情をますますしかめた。そういう軽い人は大嫌いなのだ。
ただ少し顔がいいからって、女は全て自分のものになると考えているだろうから。
「気をつけるも何も、興味ないから」
「酷いなぁ。これでも俺、結構モテるんだよ?」
「今まで貴方に寄ってきた女と、私達を同じにしないでください。不愉快です」
冷たく吐き捨てるように言う。眞智から不思議そうな視線が向けられるが、気にしない事にした。
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