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きっと彼女は夕鶴を男嫌いだと思っているだろう。間違ってはいないのだが。 「伊吹、こんなとこに居たのか」 「おぉ、恢。来んの遅いぞ」 恢。その名前を聞いた瞬間、不機嫌だった自分の表情が明るくなるのが分かる。 勢いよく声の聞こえた方向に顔を向けた。恢もちょうどこちらを見ていたのか、目が合うと目を丸くする。 「姫、なんでここに?」 「先輩こそ、いつも食堂にいるんですか?」 小さく笑いかける。恢だけは自分の中で例外なのだ。それは命を懸けてまで助けてもらったのだから当たり前で。 「あぁ、そうだよ。眞智もいるのか」 「こんにちは、鴉島井先輩」 この状態について来れないのは伊吹だけ。恢が夕鶴達と知り合いだった事に驚いている。 そんな伊吹の視線に気付いた恢は苦笑を浮かべているだけだった。 「女好きな先輩と仲良しだったんですね」 一応名前を教えてもらっていたが、それで呼ぶつもりなんて少しもない。 食事を終わらせた自分も、眞智もこの場から離れない。きっと恢がいるから。 「夕鶴、鴉島井先輩は大丈夫なのね」 「何が?」 いきなり何を言ってくるのか、夕鶴にはよく分からなかった。首を傾げると彼女は笑う。 しかしそれだけ。何でもないと言われてごまかされてしまった。
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