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「夕鶴、一緒に帰りましょう?」 「ごめん、眞智。大野先輩だっけ?あの人に呼ばれてるの」 放課後、眞智が夕鶴を誘いに来た。自分だって本当は彼女と一緒に帰りたい。 だが約束をしてしまっている以上、そちらを優先しなくてはならないのだ。 「そう、分かったわ。気をつけて」 「ありがとう。バイバイ、眞智」 夕鶴は眞智と別れ、一人寂しく生徒会室に向かう。あの大野とかいう青年の考えている事はよく分からない。 分からないのだが、男と二人きりになる気は全くなくて。いざとなったら叉玖がいる。 「叉玖、なんかあったら助けてね」 『ニィ』 彼はいつも自分と共にいる。そしてもう一人。背後にいる浮遊霊に視線を向ける。恢が言うには話せるらしい。 しかし今まで一回も会話をした事がない夕鶴には信じられない話だ。 「貴方、話せるんでしょう?なんで話さないの?」 何度問い掛けても彼はこちらと話してはくれない。嫌われているのだろうか。 ため息をついて再び前を見る。長い事彼らと話していると誰かに見られる可能性があるから。 生徒会室のある棟は静かだ。この学校は学年ごとに棟が分けられており、生徒会用の棟まである。 それくらいこの学校の生徒会は強い権力を持っているらしい。意味が分からない話だが。
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