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ぶちギレてしまった夕鶴は、この目の前にいる青年に言魂を使ってしまったのだ。 「それがなんですか。あったら何か悪い事でも?」 「ないよ。ないけど、一つお願いがあって」 目の前で微笑んでいる光輝の顔を見ていると、堪らなく嫌な予感がしてくるのは気のせいだろうか。 ゆっくり立ち上がってこちらに迫ってくる彼。ソファーに座っていた為逃げられない。 頭の横に両手をつかれ、完全に逃げ道がなくなった。そんな光輝を鋭く睨む。 「睨まなくても。別に襲う気はないから」 「信用出来ません」 「君、やっぱりおもしろいね。俺の事知らなかったり、今だって全く反応しないから」 遊ばれているのか。言魂を使えばすぐに逃げる事も出来るが、何か違う気がする。お願い事があるとも言っていた。 「ふざけるなら帰ります。お願いってなんですか?」 「あぁ、俺と付き合ってくれませんか?」 「……は?」 たっぷり間をあけてから、やっと言われた言葉を頭が理解してくれたらしい。間抜けな声が出た。 まさかそんな事を言われると思っていなくて。自分に霊力があるという事を知っているから、てっきり除霊関係かと。 「お断りします」 悩む間もなくはっきりと断られて、光輝は何故か酷く驚いたようだ。
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