02

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「何で呼ばれた?」 「付き合って欲しいらしいです。霊力を手に入れたいから」 恢は盛大なため息を付いた。そういえば生徒会長は、霊力を切望していたような気がする。 同じクラスであり、霊力者として学校でも有名な恢を彼が目の敵にしているのはそれが理由だろう。 「まぁ、いいか」 「先輩こそ、何で……」 「夕鶴ちゃん」 不意に低い声が聞こえた。夕鶴と同時に後ろを振り向くと、視線の先には光輝が。 無表情というより不機嫌に顔を歪めて自分を睨み付けている。こちらも負けじと睨み返す。 バチバチと火花が散るのではないかというような緊迫感の中、口を開いたのは光輝の方。 「なんでそいつと一緒にいるの?」 「私が誰と一緒に居ようが、貴方には関係ありません。放っておいてください」 彼氏でもないのに束縛する気なのだろうか。そういうのは夕鶴でなくとも普通は嫌がる。 「確かにそうだ。でも、そいつだけは許さない」 彼女に近付くと腕を引っ張って自分から離す。それを見て眉を寄せた。彼も恢を嫌っているが、自分も王子様が大嫌いだ。 「お前には関係ない。姫を離せよ」 「夕鶴ちゃんは渡さない」 「渡す渡さないの問題じゃねぇ。何勘違いしてやがる」 何が起こっているのか分かっていないだろう夕鶴をおいて睨み合う。まるで水と油。犬と猿のように。
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