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夕鶴が深々とため息をついて、眞智はそんな自分を見て苦笑する。 あの日から、光輝が毎日尋ねてくるようになってしまった。それはまだ許せるが尋ねてくる頻度が酷い。 休みや放課後には必ず来る。年上には目をつけられ、あまりのしつこさに周りも迷惑しているようだ。 あれが来る度にさっさと追い出せという視線を向けられても、夕鶴が一番困るのだ。 「眞智、何とかして」 「私は無理よ。頑張って」 完全に眞智は傍観する事に決めてしまったらしい。味方は誰もいないという事か。 唯一彼がやって来ない、昼休みだけが夕鶴の安らぎの時間だった。 「先輩に頼もうかなぁ」 「止めときなさい。逆効果よ」 眞智も仲の悪さを最近知ったらしい。確かに自分も逆効果になると思う。恢に頼んで前よりも酷くなったらどうしようか。 「いいじゃない、かっこいい人にモテるんだから」 「嫌よ、あの人は霊力が欲しいから私を側に置きたいだけ。私になんの得があるっていうの?」 「俺と付き合えるのは、得じゃないの?」 いきなり後ろから声をかけられ、ついでに抱きしめられた夕鶴は悲鳴をあげる。 そしてその悲鳴に反応した叉玖が光輝に噛み付くが気付かれない。これが日常になっている。 「いつも酷いなぁ」 悲鳴をきいた彼は苦笑しているが、離れてくれるならそれでいい。相変わらずしつこい奴だ。というか、昼休みは来ないはずなのに。 「私は、貴方に興味がないって言ってるじゃないですか。自意識過剰もいい加減にしてください」 自分の容姿をちゃんと理解しているようだが、夕鶴としては迷惑でしかなかった。 完全に晒し者状態で。これで付き合い出したという事になったら、自分が負けたという事になる。それは嫌だ。
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