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「どうしたんです?」 近くにあった椅子を恢の方に持って行きながら夕鶴は笑う。光輝とはまるで対応が違うのはもう気にしない。 何故なら彼は、とても頼りになる強い先輩と彼女の中の評価は決まっているから。 「あぁ、まぁ対した用じゃないんだよ」 一瞬だけ恢の視線が泳ぐ。夕鶴は気付いていないのだが、彼はとても気まずそうだ。 「今日の放課後、空いてるか?」 「放課後?」 放課後と言えば、さっき帰っていった光輝も何か言っていた。ただ夕鶴がどちらを取るかなんて考えなくても分かる。 「はい、大丈夫ですよ」 「そっか、じゃあちょっと寄りたい場所があるんだ。着いてきてくれね?」 恢の言っている寄りたい場所には、いろいろなお守りが置いてあるという。 前に夕鶴が騙されて捕まった事を考えると、例え形だけでもお守りを持っていた方がいいと考えたらしい。 「分かりました。じゃあ放課後に」 「あぁ、迎えに行くよ。眞智は?」 「私はいいです。今日用事あるんで」 てっきり来るかと思っていたようで、夕鶴は驚いたように目を見開いて眞智を見た。 「眞智もお守り持ってた方がいいんじゃない?」 「確かにな。お前、前の事件から霊力開花しただろ?」 彼らの言う通り。霊力が開花した自分は何かに襲われる可能性がぐっと増えた。 それでも邪魔をする気はない。これは自分の我が儘で、二人とも先輩後輩の関係でしかないのを知っている。 いや、巫女姫と守り人という関係より上になる事は一生ないだろうが。 「お守りなんていらないわ。だって、いざという時は夕鶴が助けてくれるもの」 核心がある。あの日、夕鶴が自分を助けてくれたように。次も絶対に助けてくれると。 眞智の言葉に夕鶴は笑う。そしてそのまま、しっかり頷いた。
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