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どんどん心の中が黒く侵されていく。抗う事の出来ない負の感情に。
『――――い』
また聞こえた。今回は、さっきより少し大きい。何か言葉みたいなのも聞き取れそうだ。
「なんなんだよ、一体。俺にも霊力が宿ったとか?」
霊力が欲しかった。自分は、特殊な力を何でもいいから持ちたくて。そんな力を持っている奴がいると聞いた時は羨ましかった。
それがあの鴉島井だった。顔もいいし頭もいい。何より明るくて友達が多い奴。
そんなパーフェクトな奴に、特殊な力があるなんて。神はどうしてそんなに不公平なのか。
最初は神を恨んだ。次に、その『パーフェクト』な鴉島井を恨み。相手もそれに気付いたのか、知らぬ間に犬猿の仲になっていた。
『――来い』
はっきりとその声が聞こえた瞬間、光輝は驚いて大きく目を見開く。
まさか本当に霊力が開花したのだろうか。夕鶴の側に居たのは少しだけなのに。
そうだ、彼女は凄まじい力を秘めている。だから、少し側にいるだけでいいのかもしれない。
「ど、どこだ!?」
『こちらだ』
聞こえてきたのは生徒会室にある奥の部屋。前にも何かを感じた場所だ。
確かこの部屋は、学校中のいらないものを集めてある場所。人は居ないし滅多に入らない。
なら、やはり霊関係の声が聞こえている可能性が高い。ごくりと唾を飲み込む。
胸が嫌というほど高鳴る。自分の求め続けていた、特殊な力を手に入れるチャンスがやってきた。
そっとノブを掴んで開けると、積もりに積もった埃の臭いが鼻を掠める。
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