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中は酷く散乱していた。適当に放り込まれたのか、よく分からない物が山積みになっている。 その部屋をじっくり観察してみても、霊のようなものはいないし嫌な気配もない。確かに声は聞こえたのに、何故。 「見えない霊とか、いるのか?」 呟きはその部屋の中で溶けて消えるだけ。不思議と怖くない。ただ、何かに呼ばれている気がする。 胸が高鳴る。呼ばれているのだ、早く早くと。早く自分を見付けて欲しい。早く解放してくれと何かが光輝を急かす。 本来なら怖くて動けないはずなのに。今は何かにつき動かされている。 「どこだどこだドコダ」 もう自分が何を口走っているのかも分からないまま、光輝は夢中で掘り返していた。 不思議と何を探せばいいのか分かる。何も知らないのに、何を探しているのかが分かる。 「……鏡」 頭に過ぎるのは不思議な装飾をされた鏡。大きくもなく小さくもない、上半身だけ見えるようなもの。 この部屋のどこかに埋もれているはずなのだ。それが自分を呼んでいる。 知らない間に夕方になっていたのか部屋がオレンジに染められていく。視界の端で何かが光った気がして光輝は動きを止めた。 全て探していた気がしたが、一カ所だけ全く手をつけていない場所がある。 明らかに空気が違う。重くて暗い、今の自分の心をそのまま表したような。その山から何かが光ったように見えたらしい。 自分の心が警鐘を鳴らす。危険だ、そこには近付かない方がいいと。だが足は一歩一歩、踏み締めるようにして進んでいってしまう。 頭が痛い。嫌がっている。でも何かに呼ばれてるので仕方ない。心の中で矛盾した感情を抱えながら、手を伸ばして山に触れた。 その瞬間、まるで計ったかのように山が崩れた。そして目の前には探していた鏡の姿が。 「あった!」 持ち上げて中を覗く。綺麗な鏡だ……? 鏡の中に見えないはずの何かを見た気がしたが、確かめるよりも前に意識が深い闇に落ちていった。
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