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「……成れの果て」 夕鶴の家にいる浮遊霊とは違う。完全に自分達の形というものを忘れた存在。 そんな哀しいものたちを見ている内に、違和感がある事に気付いた。 成れの果て達から感じる微量な霊力のようなもの。これで操っているようだ。 「面倒な事になったわね。眞智、次の授業私はサボるし」 「分かった。私も行くわ」 目を見開いて眞智を見る。まさか彼女が着いてくるとは思わなかったから。 着いてくるのは危険過ぎる。夕鶴が向かうのは、嫌な気配が充満している二年生棟だというのに。 「二年生棟なら、鴉島井先輩がなんとかしてるんじゃない?」 「そんな気配はないわ。多分、先輩も手出しが出来ないのね」 学校は人が多すぎる。自分達が暴れ回るのは不可能だろう。だから恢も夕鶴も手出しが出来ない。 ゆっくり、静かにこの大量の霊を祓うというのは恐ろしく大変な作業になるはずだ。 「そんな面倒な事をしたくないから、私は授業をサボるの。眞智は受けなさい」 「いや、着いてくわ」 授業が始まっているのに小声で揉める二人。議題は着いていくかいかないか。 自分の主張は、まだ力を使いこなせていない。もとい力のない眞智は来ない方がいいというもの。 対する彼女は、それでも夕鶴が心配だしここまで首を突っ込んだんだから同じという事。 言っている事が正論なので決着は中々つかないが、結局は眞智に甘い自分が折れた。 授業終了のチャイムと共に自分達は席を立って、そのまま走って教室を後にする。 向かう先は二年生棟。目指すは、この嫌な力の持ち主を祓うという事だ。
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