それは闇を切り裂く剣か、

4/14
前へ
/21ページ
次へ
 エレーディアは剣技が上手いわけではない。とりわけ、長剣は苦手だった。  運動神経は5歳ながらに悪くなく、簡単な格闘技はすぐに覚えられたし、かけっこは早かった。  それに加え、計算式は苦手であった。ただ記憶力は良かったので歴史は成績が良い。  彼は実に真面目だった。おそらくは兄たちの姿を見てこうあるべきだと考えたのだろう。 「ふぅ……」  ただ、エレーディアのその姿は真面目すぎた。 「……どうして、うまくいかないんだろう」  庭にある小さな噴水のそばに腰掛けて、木刀を抱えた。  上手く振り回せない、相手の攻撃は読めるのにこっちの攻撃は当たらない。  これじゃあ騎士にはなれないと、エレーディアは考えた。 「五歳」 「産まれてから五年」 「まだ、足りない」  そう、まだ足りない。年月が、何かがーー
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加