それは闇を切り裂く剣か、

10/14
前へ
/21ページ
次へ
「エレーディア兄ちゃん!」 「フロム、どうしたの?」  シロガネソウを楽しそうに抱えている二人を見て、エレーディアは眉を少し潜めた。  それから笑顔に戻って手を伸ばす。 「ロシュが心配していたから」 「あぁ、そんなに時間かかっちゃったの?」 「ね、帰ろう」  うん、と頷いたショコラの伸ばした手をつかんで引っ張り上げた。  カサリと花が落ちて。  ふわ、と風が吹いた。 「きゃっ!」 「っ!」  がるるるっ!  いくつもの唸り声。それがエレーディアたちを囲んでいた。 「……シロガネソウは、オオカミたちの栄養剤だからね。きれいだけど採っちゃダメだって」  エレーディアは長剣を構えていた。 「教えたじゃんか、ショコラ」  たんと足を踏み、飛び出した。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加