それは闇を切り裂く剣か、

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 しゅっ! と爪をかわして、二人をかばうエレーディア。  ショコラとミミはそれを見ながら、後ずさりをしていた。 「早く逃げろ!」 「フロムはっ?」 「僕はいいから、早く! 院長に伝えて!」  爪や牙を長剣で受け止めて、エレーディアは二人が駆け抜けるのを見送った。  前を見据えると、ぎこちなく長剣を振るい、オオカミを倒していく。  そのたびにエレーディアの傷も増えていって、木刀にもひびが生まれていった。 「っあ!」  がきんと鈍い音と共に二つに割れた木刀に気を取られて、オオカミの体当たりを食らう。  オオカミと共に倒れて、足で押さえられ、牙がエレーディアの首もとへ迫っていく。 「うあぁ!」  叫んで目をつむり、右手を振り上げた。  ザシュと音がした。  生暖かいものがエレーディアに降り、それは血であることを彼に知らせる。  割れた木刀はオオカミに刺さっていた。 「っ!」
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