それは闇を切り裂く剣か、

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 オオカミの亡骸をどかし、木刀のもう片方を拾い両刀を構えた。 (あれ?)  しっくりとくる感覚。エレーディアはわずかにそちらへ意識を向けていた。  再びオオカミが襲いかかる。  しゃがんで勢いをつけ飛び出し、前転を加えて足を振り下ろす。  一匹を沈ませて、左右へ両の手を広げ、二匹、三匹と攻撃を加える。  先ほどのエレーディアとは、戦闘が段違いに変化していた。  数歩下がり、オオカミとの距離を取る。  血を流し過ぎたエレーディアはすでにふらふらだったが、覇気を放った。  それに怯えたオオカミが数匹逃げていくが、まだ残った数匹がじりじりとエレーディアに近づいていく。 「くっ……!」  苦悩の声をあげ、一歩エレーディアが下がると背後から風が吹いた。 「風の聖霊よ、刃とならん!」  オオカミが魔法によって逃げていく。  エレーディアに駆け寄ったのは、まだ若い青年、院長であった。
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