それは闇を切り裂く剣か、

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 数日後、エレーディアの下に届いていた『お小遣い』をはたいて、彼は短剣を二本買った。  すでにエレーディアは騎士になることを止め、友人たちを守るという意志を固めていた。 「本当に行くのかい? エレーディア」 「あぁ、院長。ここにいたらフィオルガ家からお呼びがかかりそうだからね」  荷物を抱え短剣を腰に下げ、軽装のエレーディアが笑った。  旅に出るのだと、彼は言う。 「……僕はさ、騎士になりたかったんだ」  エレーディアが語り出す。院長をゆっくり頷いた。 「今は……騎士になるより、世界を見て回って、強くなって、大切な人を守りたい」 「それは何故?」  院長の問いにエレーディアはにこっと元気に笑った。 「僕を……オレを変えてくれた人を、守りたいって思ってるからさ!」  少年は手をあげ、旅へ向かう。  それを院長は見送り、背後へ声をかけた。 「良かったの、ショコラ?」 「……」  ショコラは、涙をこらえたまま頷いた。 「フロムは、帰ってくるもの。フロムの家は、ここなんだから」
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