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銀魂高校の卒業式が終わった。
俺は今屋上にいる。
桜の木には小さな蕾が付いている、俺達の穴を補う新入生を待っているように。
辺りには暖かで心地よい風が通り抜け、校庭は別れを惜しんでいる高校三年生で溢れている。
抱き合って涙を流している人、先生も交えて写真を撮っている人。
銀八もその中の一人のようで、他の生徒と最後まで気怠げそうに写真に写っている。
此所からは校庭がよく見える。
おそらく全ての範囲が見えるだろう。
加えて俺は視力がいい、なんとかだが友人なら校庭にいる人は分かる。
しかし、アイツの姿が見当たらない。
誰よりも何よりも目立つ、真っ先に目に入るはずの桃色を持ったアイツが。
「ー…ッたく。どこ行きやがったんだアイツは」
最後に言いたい事があったのに。
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