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だけどそんな私を尻目に、
金髪の男は「よっこらせー♪」と、相変わらず歌うようにそう漏らすと、地べたにドカっと座った。
そして、ポンポン、と地面をたたき、
「はい♪君も君も。」
と、私にも座るように促す。
この人、今は笑ってるけど・・・
言うこと聞かなかったら、いつキレ出すかも分かんないし、言うとおりにした方がいいよね?
それにこの人の友達も言ってたけど・・・かなりの気分屋らしいし、
機嫌を損なわせてしまったら、どんな乱暴なことをされるか分かったもんじゃない。
何よりも私は・・・
人がイラついている表情を見るのが、一番苦手だ。
結局私は、彼と少し距離を空けたところに、腰を下ろした。
すると、金髪の男は可笑しそうに笑った。
そして体勢を少し変えて、私と向き合うように座り直す。
男のその行動を見て、更に身体の部位すべての筋肉を強張らせる私。
「べっつにそんな警戒しなくても、手ぇ出す気はないんだけどなー。
ところでさぁ、名前なんてーの?
俺はね、壕地和也☆ゴッチでいーぜ♪以後☆お見知りおきを♪」
「・・・柏木、です。」
私は俯いたままで、たどたどしく返事をする。
恐怖心から、この人の顔をまともに見れない。
私に一目惚れしたとか適当なこと言ってたけど・・・
“普通の中の普通”がピッタリな私の顔レベルで、そんなことやっぱり有り得ない。
それにチャラそうだし、普通にカッコイイ顔してるし・・・。
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