第1話

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「・・・なんで・・・」 やっとのことで、それだけをノドの奥から振り絞る。 だけど変わらず、目の前の金髪の男は笑った。 「俺ね、目が良いんだよね。 良すぎて、都合の悪いモノよく見ちゃうの。 その分厚い腕時計で、傷跡隠してるっしょ?チラチラ見えちゃったんだよねー。」 「・・・・・・。」 「なんか気になんじゃん。 それにちょっと髪の毛とスカートも湿ってるし・・・上はTシャツなんか着ちゃってるし。 もしかしてかずっぺさ・・・」 「だから何ですか?」 意識もせずに、呟いていた。 自分でも驚くほどの、冷たい声。 「だから何なんですか?ソレ聞くためだけにわざわざこんな所まで連れてきたの? なによそれ!人のこと馬鹿にしてんの!?アナタ無神経すぎない!? ついさっき会ったばっかの人にそんなこと聞かれて、私が傷つかないとでも思ってんの!? リスカしてる人がそんなに珍しい!?アナタの勝手な好奇心で、これ以上私を振りまわさないでよ!!!」 息継ぎもせずに怒鳴り続けた私は、言葉を切ると、肩で息をくり返した。 もう嫌。 なんなのよ。なんなのよ。 私が何したっていうのよ。 見知らずの人に、しかもこんなチャラそうな無神経男に、何でそんなこと聞かれなきゃいけないのよ・・・ッ 恥ずかしさと怒りから、頭の熱が上がる私。 だけどすぐに・・・ ・・・・・・・やばい。 私・・・なに反抗してんの・・・? 自分のしてしまった愚かさに気づき、頭の芯から氷を敷きつめられていくような感覚に陥る。
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