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6月下旬。夏。放課後
バシャーン!!!
頭から冷水をかけられた。
彼女は可笑しそうに口元を歪めて笑うと、空になったバケツを、トイレの床に投げ捨てた。
カランカランカラン・・・
床に衝突したバケツは、しばらくの間、小さく踊り続けたが、次第に死んだように動かなくなった。
・・・まるで私の心みたいだ。
必死に動き回ってもがいてみたものの、もう使い物にはならない、私の心。
「アッハハハハ!!超かわいそうじゃない!?見てコイツびしょ濡れなんだけど!!」
彼女・・・私に水を浴びせた張本人・森崎さんは、
トイレの床に座り込んでいる私を見降ろして、周りの女子たち2名にそう言った。
江口さんと、渡邊さんだ。
そして、江口さんと渡邊さんも、笑いながら私の長い髪を引っ張ってきた。
髪の毛を引きちぎられるような痛みが走り、おもわず私はうめき声を小さくもらした。
痛い・・・。
感情は薄くなっても、やっぱり身体の痛みには正直だ。
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