第1話

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すると、江口さんは私の髪を更に上に引き上げ、匂いを嗅ぐようにおおげさに鼻をヒクヒクとさせた。 「あ~・・・ヒナ、やっぱダメだ、コイツまだ臭いわ。 便器並みの臭さだね。」 江口さんの言葉に、渡邊さんも私の髪に鼻を近寄らせる。 「マジだ!くっせーコイツ! 水じゃダメみたいね~。匂いとれやしないわ。 なあ柏木、アンタちゃんと風呂入ってんの?マジくっさいんだけど!」 ・・・入ってるよ。当たり前じゃん・・・。 でも怖くて、反論することなんてできない。 だから私はただ黙って俯いていた。 早く終われ。終われ。終われ。 ただソレだけを願って、ひたすら私は俯く。 何か反論すれば、この苦痛の時間が長引くだけ。 ココで泣いたりしても、森崎さんたちが更に面白がるだけ。 感情を殺して、殺したフリして、ただ人形のようにしているのが一番なんだ。 そうやって、あとは彼女たちが、私をイジメるのを飽きるのをひたすら待てばいい。
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