第1話

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・・・制服が可哀そう、か・・・。 確かに可哀そうだわ、こんなことされて。 中学の入学前、お父さんとお母さんが、嬉しそうに眺めてた新品の制服。 まさかこんなことになるなんて、思わなかったでしょ? ゴメンね・・・ 私が鈍臭いから、制服どんどん汚くなっちゃうね。 ポタ。 タイルの床に、水滴が落ちた。 涙・・・・ ではなく、鮮やかな深紅だった。 何気なく、鼻をずっと押さえていた手を離してみる。 手が真っ赤だった。 「うわっきったねー!!なにコイツ!鼻血もらしてんだけど!」 私の鼻から流れる赤い血に気づいた江口さんは、私の髪を掻きまわすのを止めて、一歩後ろへ下がった。 ・・・あーあ・・・ さっきの洗剤容器の直撃のせいか。 鼻血のせいで真っ赤に染まった手を見つめながら、私は他人事のように思った。 気持ちがどんどん落ち着いてくる。 引き込まれるように、赤い血に釘づけになる。 もっと、もっと。 血が見たい。足らない。 もっと逃げさせて。この赤の中へ。 グイッッ 「!!?カハ・・・ッ」 突然、森崎さんに制服の襟を掴まれ、強制的に立たされた。 襟元がわずかに首を締めつけ、少し私はせきこんだ。
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