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・・・制服にちょっとかかっちゃったな、血。
自分で手洗いしてから、洗濯機に入れなくちゃ。
お母さんが心配しちゃう。
後、お風呂にも入りたい。
それでその後は・・・いつもの“日課”にとりかかろう。
右手を持ち上げると・・・
さっきまでは綺麗なほどの深紅だった血が、いつの間にか、黒く変色していた。
・・・もったいない。
あんなに綺麗だったのに。
この世界すべて、私の血でできていればいいのに。
案の定、簡単に出れないように、トイレのドアの前には簡素なバリケードができていた。
だけど30分かけて、なんとかソレを破り、自分の教室・3年A組に戻ってきた。
さすがに7時前の中学校の校舎には、全く人がいない。
廊下の電気も消されていて、静かで、とても不気味。
だけどソッチの方が落ち着く。
暗闇とか、お化けとか、そんなモノよりも、やっぱり生身の人間が一番怖い。
ガサガサ・・・
私は自分のロッカーの中を漁り、一番奥の方から目当てのモノを掘り出した。
「よかった。コイツは無事か。」
私がロッカーから取り出したモノは、薄い水色の無地Tシャツ。
こうゆう風に森崎さんたちからイジメられて、制服が無残な姿になった時に、代わりに着て下校するために予備したモノだった。
森崎さんたちからイジメを受けるようになってから、2ケ月・・・
鈍臭い私ではあるけど、使えない頭を何とか振り絞ってできた、些細な知恵だ。
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