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まず、鼻に詰めていたティッシュを抜き出すと、
さっそく私は、ズブ濡れ&洗剤だらけになってしまったシャツを脱ぎ、上だけTシャツに着替えた。
だけど、髪の先からポタポタと落ちてくる雫に、すぐTシャツも湿りだす。
泡だらけになってしまった髪は、一応トイレの手洗い場で洗いはしたけど・・・
タオルなんか持ってないから、結局髪の毛はまだビショビショのままだ。
それに、だいぶキシキシになってる。
・・・こんなに鬱陶しい髪なら、もっと短くしておくべきだったな。
そんなことを思いながら、再度私は手で髪をきつく絞った。
ポタ、ポタ、と床に水滴が落ちていく。
・・・そういや、
私、最近どれくらい泣いてないんだろう。
ボンヤリと、床にたまっていく水滴を見つめる。
最初の頃こそは、ちゃんと涙を流していた気がする。
イジメられた時。
イジメられた後、家に帰って自分の部屋に閉じこもった時。
次の日学校に行くのが怖くて、ベッドの中で丸まっていた夜。
だけど私は知ってしまった。
泣いても何の意味もないことを。
泣いたからって、森崎さんたちは面白がるだけで。
傍観者であるクラスメイトたちは、目をそらすだけで。
私自身が強くなれるはずもなく。
ましてや神様も居るわけがなく。
ただ、地獄のような日常は、淡々と過ぎていく。
だったら・・・
これ以上、心が傷つかないように感情を殺してしまうことが、一番賢い方法なんだろう。
森崎さんたちに逆らうこともできない、力の無い臆病者の私には、ピッタリの防衛策だ。
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