1305人が本棚に入れています
本棚に追加
/306ページ
傷ついてない。
辛くなんかない。大丈夫。
だからどうか神様仏様悪魔様。
この心の麻酔が、いつまで経っても切れませんように。
駅前になると、街のネオンがキラキラと光っていた。
その中には、仕事帰りのサラリーマンやOL、または少し怖そうなお兄さんやお姉さんたちがたむろっていたり・・・。
私はその中をただトボトボと歩いていた。
Tシャツには着替えたものの、スカートはそのままだから、まだ少し湿っていて気持ち悪い。
・・・次の電車、何時に来るのかな。
私は腕時計に目を落とす。
私が通学に使うこの駅のある場所は、そんなに都会というわけじゃない。
だから1時間に電車が来る回数も、あまり多くはない。
私は、駅の入り口付近でいったん足を止め、学生カバンから携帯を取り出した。
そして、ネットを開き、電車の時刻表サイトを調べようとした時・・・
「ねぇねぇ!かっわいいね~。
一人で何してんの?」
「てかちょっと髪の毛濡れてねぇ?あれ?雨降ったっけ?」
頭上から、2つの声が降ってきた。
私はビクっと小さく肩を揺らし・・・恐る恐る、顔を上げた。
そこには・・・いかにも“チャラい”と言われるような風貌の、男たちが2人。
男たちは、灰色のブレザーに、黒いズボンの制服をまとっている。
この制服って・・・私の中学の上の高校のだ・・・。
私の通ってる中学校は、いわゆる中高一貫校で、中学を卒業すれば、
そのままエスカレーター式で、上の高校に上がれる仕組みになっている。
てか、なに?
この制服着てるってことは、私の先輩にあたるんだろうけど・・・
もしかしてこれって・・・
「そのスカート、俺らの下の中学のだよね?おとなっぽいね~。
あ、何で上はTシャツなの?」
「つーか名前なんて言うの?
なぁ今ヒマだったりしない?」
・・・ナ、ナンパって奴なのかな・・・。
最初のコメントを投稿しよう!