第1話

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傷ついてない。 辛くなんかない。大丈夫。 だからどうか神様仏様悪魔様。 この心の麻酔が、いつまで経っても切れませんように。 駅前になると、街のネオンがキラキラと光っていた。 その中には、仕事帰りのサラリーマンやOL、または少し怖そうなお兄さんやお姉さんたちがたむろっていたり・・・。 私はその中をただトボトボと歩いていた。 Tシャツには着替えたものの、スカートはそのままだから、まだ少し湿っていて気持ち悪い。 ・・・次の電車、何時に来るのかな。 私は腕時計に目を落とす。 私が通学に使うこの駅のある場所は、そんなに都会というわけじゃない。 だから1時間に電車が来る回数も、あまり多くはない。 私は、駅の入り口付近でいったん足を止め、学生カバンから携帯を取り出した。 そして、ネットを開き、電車の時刻表サイトを調べようとした時・・・ 「ねぇねぇ!かっわいいね~。 一人で何してんの?」 「てかちょっと髪の毛濡れてねぇ?あれ?雨降ったっけ?」 頭上から、2つの声が降ってきた。 私はビクっと小さく肩を揺らし・・・恐る恐る、顔を上げた。 そこには・・・いかにも“チャラい”と言われるような風貌の、男たちが2人。 男たちは、灰色のブレザーに、黒いズボンの制服をまとっている。 この制服って・・・私の中学の上の高校のだ・・・。 私の通ってる中学校は、いわゆる中高一貫校で、中学を卒業すれば、 そのままエスカレーター式で、上の高校に上がれる仕組みになっている。 てか、なに? この制服着てるってことは、私の先輩にあたるんだろうけど・・・ もしかしてこれって・・・ 「そのスカート、俺らの下の中学のだよね?おとなっぽいね~。 あ、何で上はTシャツなの?」 「つーか名前なんて言うの? なぁ今ヒマだったりしない?」 ・・・ナ、ナンパって奴なのかな・・・。
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