*出発の朝*

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『それに一角に二角もいる』  少年が達樹の首もとに下がっている二つのクリスタルのネックレスを指差して言うと、それに呼応するかのようにネックレスが淡く発光する。 「駄目!」  急に血相を変えた母親が達樹と少年の肩を掴む。 「駄目よ、向こうに着いたらセイちゃん達の存在を決してお祖父さん達に知られちゃ!」 「な、何で?」 「何でもよ!」  達樹の問いに母親は叫ぶように答える。肩を掴む手に力が入る。 「後、達樹がお父さんの跡を継いで封じ屋稼業をしていることも、絶対お祖父さん達に知られちゃ駄目よ! 分かった?」  母親のあまりにも真剣な様子にたじたじになりつつも達樹と少年は頷く。  その姿を見てようやく安心したのか母親は笑みを浮かべ、肩を掴んでいた手を離す。
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