*プロローグ*

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 達樹はある一つの空きビルの前に来ると立ち止まり、急に表情を険しくする。 「セイ」 『うむ、ここだな』  お互いに確認しあった後、二人は空きビルの中に入る。  そして周りの気配、一つ一つに気をつけながら一歩一歩奥へと進んでいく。 「どこにいるんだ」  なかなか見つからないことに苛立ったように達樹が呟く。 『達樹、落ち着け。奴は気配が消せる程高等な獣鬼じゃない』 「そうだけど、明日、朝早いから俺はもう寝たい」  明らかに自己中なセリフにセイは呆れながらも同意をする。
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