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『確かに。寝坊すると母上に怒られる』
「うう……母さん、怒るとこえ~からなぁ……」
二人は鬼のような形相の母親から怒られている現場を思い浮かべて同時に身震いする。
「……とりあえず、とっとと見つけて、さっさと封じて帰ろう」
『……うむ、それがいい』
二人はビルの屋上へと歩を進めていく。
達樹とセイは空きビルの屋上に出る。
そこには全身を剛毛そうな黒い毛で覆われた、体長三メートル余りもある、正に個体名の如く獣のような姿をした一匹の獣鬼の姿があった。
獣鬼は耳まで裂けた口から鋭い牙を剥きだしにし、屋上に現れた達樹達に向かい低い唸り声を出して威嚇している。
「見~つけた♪」
その場にそぐわない明るい達樹の声が風に舞う。
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