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御堂達樹はスポーツバッグに数日分の荷物を適当に詰め込む。
それを持って部屋を出ようとしてから、何かに気付いたように慌てて中に戻ると机に向かう。
達樹は机の一番下の大きな引き出しを開けると、その中から黒いアタッシュケースのようなゴツい鞄を取り出す。
その鞄を大事そうに机の上に置き、留め金を外して開ける。
中には綺麗に整頓されたクリスタルがズラリと並んでいて、そのクリスタルの下には何かが書かれているシールが貼られている。
その中から達樹は二つ程選び大事そうにコインケースの中にしまう。
『達樹、忘れ物ない?』
再び荷物を持ち部屋を出た達樹はまるで平安時代からタイムスリップしてきたかのような姿格好の、綺麗な顔立ちをしている同い年程の少年に声をかけられる。
「ないよ。一応、保険も持ったし。ま、着るもんとかは忘れてもなんとかなるっしょ」
そう軽く受け流すと達樹は階下へと階段を降りていく。
軽く溜め息を吐いて少年もその後をついて行く。
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