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階下に降りていくと台所から母親が出てくる。
「じゃあ母さん、行ってくる」
達樹が声をかけると母親は整った顔にどこか心配そうな色を浮かべる。
「ええ、気をつけていっておいで。向こうに着いたらちゃんと連絡しなさいよ」
母親の言葉に達樹は小さく息を吐く。
「母さん、小さい子供じゃあるまいし……」
「あんたは年だけ17なだけでしょ」
母親のあんまりな言葉に達樹はポリポリと頬を掻くと再び息を吐く。
「母さん、俺そんなに危なく見える?」
「見えるんじゃなくって、危ないの」
『大丈夫だ、母上。この私がついてる』
少年が自信あり気に自分の胸をドンと叩く。それを達樹は恨めしげに睨む。
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