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「じゃあ、そうだなぁ……恋人は出来たかい?」
笑ってストローを啜りながら聞いてきた。
畜生………今そんな素晴らしい存在がいたらおめーと一緒にいねーっつーの!
しかもなんかあの顔が腹立たしい。いないのは分かって聞きましたけど何か?みたいな顔。
癪に触るから嘘でもつくか
「ああ、いるよ」
「………………」
俺がそう言った瞬間こいつは目を見開いて驚いてくれた。
こいつのこんな顔見れるんなら嘘もついてみてみるもんだなぁ、と俺は思いつつ調子に乗って嘘を重ね続けた。
料理が美味いだの、家庭的だの、可愛いだの、言っていたがだんだん虚しくなってきたんで、そろそろネタばらししようとしたらあいつの様子が何やらおかしい事に気付いた。
顔を俯かせて何やら小刻みに震えてる。俺が不安になって声をかける事にした。
「おい、ど『その女の名前は?』」
急に底冷えするような、普段のこいつでは考えられない低くどこか怖い声。
「い、いやこれ嘘『君を誑かしてるその女の名前を早く教えてくれないか?』」
嘘だからと最後まで言わせてもらえねー(泣)
しかも誑かしてるって………冷や汗をかきながらこいつの顔を見るとさっきまでの表情とは一変してまるで般若!そう、それは例えるなら修羅の道を突き進む鬼のような顔だ。
怖っ!!
「だから嘘『君は騙されてるんだよ。私と同じ高校に行けなくて寂しくなった弱った心にまるで残飯に群がるネズミのように付け入って君の純情を弄んでるのさ。そして君は最後にまるで養豚場の豚を見るような目で捨てられるに決まってる。うん、絶対そうだ!!そうなる前にその女とは別れた方が良い。なんなら私がその女に別れる峰を話そう。そうだ、それがいい是非、そうしよう!!』」
そこまで意味の分からん長いセリフを約三秒で言い切ったと思うとこいつは俺の腕と伝票掴んで店を出ようとした。
この後なんとか彼女がいる話は嘘だと、からかっていただけだと伝える事が出来た。
だが、問題はこの後こいつに幼なじみの素晴らしさと結婚するなら頭の良い女性にするべきという話をファミレスで五時間たっぷり聞かせられるハメになった。
end
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