おねーさんは綺麗ですか?

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あぁ―――なんで俺はここにいるんだ? 周りを見れば仲が良さそうに手を取りあって笑いあうスーツを着た男とドレスを着た女。 俺は一人壁に寄りかかってアルコールの入ってないジュースのグラスを片手に佇んでいる。 俺の名前は『吉良 一仁』 私立鷺ノ羽高校に通う二年生だ。 今日はこの鷺ノ羽高校の伝統行事であるダンスパーティーに参加している。 鷺ノ羽高校には毎年一回生徒の親睦を確かめ合う為に全生徒強制参加のダンスパーティーがある。 俺は自分で言うのも何だが不良だ。文字通りヤンキーだ。 タバコも吸うし酒も飲む。喧嘩だってする。だったらサボれば良いだろうと思う人もいるだろうがそれが出来ない。 このダンスパーティーに参加しないと進級させないというふざけた決まりがあるのだ。 不良がそんなんでビビるなよと思うだろうが…………うん、それ無理。だって進級したいんだもの。 だから、女を誘えない男は悲惨だ。 ダンスする相手もいなくて一人でいる事になる。それが正に俺。 俺は基本無口だ。口下手で上手く話せない。しかも自慢じゃないがもの凄く極悪人面だ。 さっきも校門でその筋の人と間違われたくらいである。 そんな俺が女を誘える訳もなくこうして一人でいるという事だ。 一人でアルコールの入ってないグラスを空けていると何人かの男女のグループが俺の方に向かってきた。 「一人寂しく何してるのかな?吉良くん」 俺に話かけてきたのはこの高校の生徒会長で三年生の『白臼 隼人』 イケメンで金持ちで頭が良くてスポーツ万能。友達も多いというムカつく奴だ。 「………」 俺は無視を決め込む。どうせ嫌味でも言いにきたんだろ。 「あれ?君のダンスのパートナーはいないのかい?まさか一人寂しくパーティーに来たって事はないだろう?」 キャハハ、と白臼の周りにいる女達は笑うが男達は笑わない。笑ったら後で俺からボコられるのを分かってるからだ。 あー……殴りてぇ 「どうやら一人寂しくパーティーに来たようだね。まあ、悠未さんも普段は義務的に君と一緒にいるだけだってことだな」 こいつが俺をからかう理由――― それは『御ヵ倉 悠未』の存在があるからだ。 御ヵ倉悠未―――三年生で成績は学年トップ、人望が厚く常に周りの中心人物。
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