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「………別に」
俺はなんだか殴る気も失せ、そう言い残して外に出る事にした。
「はぁ……」俺は中庭のベンチに一人座って夜空を見上げていた。
今日は月がキレイだな…………そんな事を思っていると急に視界が真っ暗になった。
「だーれだ?」
この声は
「悠未姉さんだろ」
「ふふ、正解♪」
つーか俺にこんな事するの悠未姉さんぐらいしかいねぇよ。
俺が振り返ると言葉が出なかった。
純白のドレスに結い上げた髪、まるでどこかのお姫様のような印象を与える佇まい………さっきと違い改めて見ると普段と違う悠未姉さんの姿に戸惑ってしまった。
「よいしょ」
そう言って俺の隣に座る悠未姉さん。そしておもむろに口を開いた。
「かずくん、今私怒ってるんだよ」
「は?」俺は突然の悠未姉さんの言葉に訳が分からず間抜けな返事をした。
「ずっと3ヶ月前からかずくんが私をダンスパーティーに誘ってくれるの待ってたのにかずくんは私を一回も誘ったりしなかったよね?」
いや、3ヶ月前から待ってるって…………どんだけだよ。
「それにこの一週間私かずくんに何回も何回もダンスパーティーの相手がまだいないって言ってたよね?」え~……めちゃくちゃ男子生徒に誘われてたのに?
「しかも昨日はかずくんと一緒に行きたいなって思いっきり言ってたよね?」
……そんな事言ってのか。眠たくて適当に聞いてた何て今更言えないな。
「もう私から誘おうと思ってかずくんの家に行ったら、学校に行ったって言われるし………私に一声もかけずに」
あれ?それって俺の自由じゃね?
「だから私は今とーっても怒ってます」
眉毛を吊り上げぷいっと頬を膨らます悠未姉さん。
…………あんま怒ってるように見えないんだけど。
「かずくんは私に言うことはないのかな?」
じーっと俺を頬を膨らまして見つめてくる。
これって俺悪くないような気が………でも謝らないと絶対拗ねるだろうなぁ………後々面倒臭そうだから謝るか。
「………ごめん、悠未姉さん」
そう言うと悠未姉さんはいつもの花が咲いたような笑顔になった。
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