25人が本棚に入れています
本棚に追加
まさにニコニコしている俺とは真逆の態度だ。
俺の存在を知った直後、踵を返し出て行こうとする榛名の後を俺もすかさず追った。
「まだ昔みたいに教会に来たりしてたんだね」
何気ない会話をふってはみるものの、やはり返事は帰ってこなかった。
俺の存在ごと無視するつもりらしい。
「俺はまだ当分ココに居るからさ、よかったらまた来てね」
俺の言葉と榛名が聖堂の扉を閉めるのはほぼ同時だった。
再び静まり返った教会。
結局最後の最後まで無視されてしまった。
スイスからココの高校に入学してからの一年間、時たま学校で見かければ話し掛けてはいたが、何度話し掛けても無視されていたので慣れてしまったといえば慣れたのだろう。
―俺も随分嫌われたかな…―
俺はやれやれと苦笑を浮かべまるで今までの出来事を忘れようと自分の仕事へと戻った。
俺と榛名は幼なじみだ。
生まれた時から榛名と一緒に暮らしていた。
それこそ自分の兄を差し置いて実の兄弟の様に仲が良く、喧嘩もしていた。
だから榛名が日本へ行ってしまうと聞いた時は正直驚いたし、俺達も当然離れたくないと思った。
最初のコメントを投稿しよう!