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果たしてこれは、現実なのか。
もしかして、幻?
或いは、夢なのかもしれない。
いつか、誰かが言ってたんだ。
目に映るものを、信用しすぎてはいけない。
時にそれは、人を欺くことがあるからと。
例えば、灼熱砂漠の蜃気楼。
渇きと疲れに蝕まれ、弱り果てた精神が、勝手に創り、浮かべるオアシス。
偽りの風と、詐りの水。
それが偽だと気付くのは。
熱波に喉が、枯れてから。
流砂に足が、没してから。
ああ、ああ。
そうなってしまうと、手遅れなんだ。
助からないんだ。
潰れた喉は、呼吸すら困難になり。
埋もれた足は、上げることも出来ない。
元々、弱り果てていた精神。
すぐ、諦めてしまうだろう。
生きる意思さえ手放して。
そして、砂に呑み込まれていく。
その躰も、魂も。
だから、いけないんだ。
あまりにも信じすぎると、盲目になってしまうから。
足元の流砂にも、気付かなくなってしまうから。
だから。
気を付けて。
いちばんの敵は、己の眼。
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