春の嵐~予感~

6/11
前へ
/227ページ
次へ
「…隆哉…好き」 「ん。俺もだよ」 別に盗み聞きしたわけじゃないし、無理に近づいて覗いたわけじゃない。 なのに、聞こえてくるその名前と、懐かしい男の声。 何で他校に行った隆哉が、いくら隆哉の家の近くだからって言っても、この時間にここにいるのだろう。 裏切られてから一年も経つ。 それなのに、何でこんなにも、痛いんだろう。 気がついたら、立ち尽くし、冷たいものが頬を伝っていた。 私は、まだ忘れていないんだ。 恋するのは、まだ無理かもしれない。 そう思ってただ呆然としていると、左腕を誰かに引っ張られ、隆哉たちから離れ反対側の草場の方に連れていかれた。 既に、キャパオーバーになっていたので、抵抗することもなく連れていかれた。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15931人が本棚に入れています
本棚に追加