春の嵐~予感~

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ほうける私を呆れた顔して見つめ、 「俺も、朝、弱い」 補足され、やっと理解できた。 「だから、つい、見逃しちまう。なのに、今日、遅れやがって、なげー説教くらって、鈍臭いにも程があんだよ」 そう言い、視線を私から、公園の外に再びうつした。 えー、それ言うか!? 遅れたのだって、絡まれたからで、私の所為ちゃうし… ブツブツ小声で、小さく反論するのは、せっかくの先生の好意を無駄にしてしまったから。 「おらっ、行くぞ。適当についてこい」 そう言い、公園を出た。 私は、仕方なく、十歩くらい後ろをあとをつけるように歩いた。 前だけを見つめ、背筋を伸ばし颯爽と歩く後ろ姿を眺めながら、さっきのキスを思い出し、全身が熱くなった。
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