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「おい、山岡、たまには、5分早く起きて、味噌汁一杯食べてからこいよ」
門をくぐると同時に声をかけてきたこの男、桜井駿一。
この四月に、他校からの転任で赴任してきた26歳の体育教師。
体育教師なのに暑苦しくなく、汗なんて無縁そうな感じの爽やか系で早くも、女子生徒の中で、人気がある。
ただ、クールで、話しかけても、普段は、ほとんど話さない。
ん?私とは、喋ってる?
そりゃ、もう一学期始まってからほぼ毎日遅刻ギリギリですから。
「せんせ、味噌汁飲んでたら、私、猫舌だから、5分で済まないよ」
「なら、10分早く起きろよ」
「そんな時間あったら、メイクに時間かける」
「あー、わかったから、遅刻な」
「えー、せんせ、今日だけ、おまけしてお願い!」
「ったく、早く行け。SHRに間に合わないと遅刻だぞ」
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