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目の前には、布団を頭から被っている先輩の姿が飛び込んできた。
えっと、もしや、処女?
いやいや、処女なら逃げ出してたはず。
「…せんぱい?」
躊躇いながら、布団をめくると身体がピクッと反応し、こちら側に、寝返りをうった。
へっ??嘘だろ??
寝返りながら、俺に視線を合わせたその目は、哀しみが宿り、目からは、一筋の涙が頬を濡らしていた。
それを見た瞬間、俺の心臓は痛みを感じ、と同時に、こんなにも綺麗な涙があるんだと見とれていた。
「先輩、どうしたっスか?」
できるだけ優しく声をかけ、頬に伝う涙を拭おうとした時、
「イヤッ、隆哉。汚い手で触んないで!!」
彼女の瞳は、全く、俺を映していなかった。
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