新緑のニオイ~トラウマ~

10/14
前へ
/227ページ
次へ
俺がどんな言葉をかけても靡かない、気丈な先輩だと思っていたが、実際は不意に聞いた声によって、そこを通れなくなる程、繊細な先輩だった。 自分のしてきた事を否定は出来ないが、信じてもらおうとも信じられないだろうが、先輩の心の闇、トラウマから救ってあげたいと思った。 「先輩、ただでさえ傷ついていたのに、俺が、傷を深くしてすいません。」 先輩の前に立ち、頭を下げた。 「俺、先輩に元気になって欲しいっス。先輩を救いたいです。簡単に俺なんか信用出来ないのわかってますけど…。話してくれて嬉しかったっス。 あの、先輩、俺の話も少し聞いてくれませんか?」 俺は、意を決して、先輩に尋ねた。 先輩は、苦笑しながらも、頷いてくれた。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15932人が本棚に入れています
本棚に追加