第五章 オレンジウイング

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07/06 15:06 ■「ポートレート基地上空<沖縄・日本>」 「ドロー編隊、こちら管制塔。着陸を許可する。滑走路36を使用してください」 「管制塔、こちらドロー編隊。着陸許可 了解しました。滑走路36を使用します」 機体は滑走路36の延長線上3000フィートを着陸体勢に入りながら飛行する。 雲が一つもないとここから見る基地は隔絶された海の孤島のようだ。 巨大な軍基地とそこに敷かれた二本の滑走路、少し離れて外来客用の輸送ターミナルが浮かんでいる。 スピードブレーキをいっぱいに展開したF-15SEとF-01が滑走路末端を目指し、斜めにずれて飛んでいる。 『…にしても、君らの成長ぶりには感心させられたよ』 『全くだ。どうすればこんなに早く、適応出来るんだ?』 『いえ、とんでもないでありまする』 F-15SEのパイロットが無線で謙遜の意を伝え、連城が調子に乗ってそれに答える。 『残りの四人に比べ、だいぶ上達している。そろそろACMも検討しないとな』 僕たちはべた誉めだった。 ここまで言われると、有希でもさすがに顔を緩めてしまう。 左やや後ろを飛行する連城は今までとは違い、ぴったりと張り付いている。 -Aのときとは比べものにならないくらい編隊飛行がうまくなった。 『ファイナル・アプローチ・ビフォー・ランディング』 編隊長から着陸段階が最終段階になったことが伝えられる。 『ラジャー、ファイナル・チェック』 僕たちは着陸前に機体がちゃんと着陸体勢に入っているか確認する。 『チェック・コンプリーテッド』 機体は地表を轟音で叩きながら着陸した。
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