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■「沖縄本土(日本)」
ライトブルーの海を小さなクルーザーが白波を立て切り裂いていく。
保有者は名門名家の後継者の座を妹に譲り、自らは目標を達成するために、アーカレッドの航空防衛隊に入隊した。
なぜ、そこまでして彼女が航空防衛隊に入隊したかはよく分からないが、戦闘機パイロットになりたいという目標は有希と同じであった。
名家の後継者を譲る気持ちは有希には分からないが、戦闘機パイロットになりたいという気持ちは痛いほどよく分かる。
今、僕が大島の立場ならどっちの道を選んだのだろうか?
名家ならこれからの生活に何不自由なく過ごせるかもしれない。
大島はただ「しきたり」や「伝統」とか「後継者」とかが嫌いなのかもしれない。
常に先頭に立って、自分から何かを初めたり、率先して行動することが好きな彼女にとって、「後継者」のように「与えられる」ものは好きじゃないのかもしれない。
「にしても、せっかくの休暇なのにかわいい女の子と一緒にいられないなんて…戦闘機パイロットっていう奴は辛いね」
「かわいい女の子なら<ここ>にもいると思いませんか?」
パイナップルなどの果実が入った大きめのフルーツジュースで喉を潤してから連城は大島の問いに答える。
「どこを見ても、いないなぁ。まあ、イルカくらいかな、この辺にいる美人は」
「そうかい」
大島は指をポキッと鳴らす。
クルーザーに縄で繋がれた赤と青の浮き輪を手に取ると、そのまま連城のところへ。
バカデカいサングラスに花びらのネックレスを首にぶら下げた、ハワイアンな格好の連城に浮き輪を付ける。
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