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実際に海が光っているわけではない。
着陸誘導灯の一種が海面に反射して光って見えるだけだ。
滑走路端まであとちょっと。
海面が一気に近くなる。
海…
数日前に見た景色を思い出す。
確かにそこには建物や民家がリアルに残っていた。
かつてそこに人が、母が住んでいたと思うと…
ピピッ、ピピッ。
大島の思考を断ち切るように、警報音がコックピットに鳴り響く。
メインディスプレイには、
「getting OFF course」の表示。
機体は滑走路から外れようとしていた。
(しまった…)
滑走路中心線に向けて飛ぶよう設定されていた機体は、確かに設定通り滑走路中心線に向かって飛んでいたが、滑走路上の横風によって流されてしまった。
横風まで計算して着陸するようには出来ていない。
修正操作はあくまでパイロットの仕事だ。
考え事をしていた大島に修正操作をする考えは浮かばなかった。
機体は左に傾き、滑走路横の草村めがけて進入してゆく。
ゆっくりサイドスティックを右に傾ける。
この速度で慌てて操作すれば失速して、その時点でお陀仏決定だ。
そのまま機体は滑走路に接地した。
ドンッ!!
メインギアがコンクリートの路面にしっかりと乗っている。
機体はなんとか無事着陸し、事なきを得た。
着陸滑走後、エプロンに戻った機体はすぐさま整備点検に移る。
数少ない訓練を無駄にしないよう時間を節約するためだ。
機体を降りた大島は久しぶりに「疲れた」と感じた。
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